歯ぐきからの出血や磨き残しを見える化|さいたま市北区の予防歯科
位相差顕微鏡と口腔内スキャナーを活用したメインテナンス
歯科医院でのメインテナンスは、歯石や着色を取り除くだけの「お口のお掃除」ではありません。
むし歯や歯周病を予防するためには、現在のお口の状態を正しく把握し、ご自身に合ったセルフケアを継続することが重要です。
当院では、患者さんにお口の状態をより深く理解していただくため、位相差顕微鏡と口腔内スキャナーを活用したメインテナンスを行っています。
目では見えない細菌を動画で確認し、さらに歯並びや磨き残しを立体的な画像で確認することで、「どこを、なぜ、どのように磨く必要があるのか」を分かりやすくお伝えします。
歯垢は、単なる食べかすではありません
歯の表面に付着する歯垢、いわゆるプラークは、食べかすではなく、さまざまな細菌が集まって形成されたバイオフィルムです。
バイオフィルムは歯の表面に粘着性をもって付着するため、うがいだけでは十分に除去できません。歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシなどを使って、機械的に取り除く必要があります。
また、毎日歯を磨いていても、「磨いていること」と「実際に磨けていること」は同じではありません。歯並びや歯肉の形、かぶせ物の有無などによって、磨き残しやすい場所は一人ひとり異なります。
位相差顕微鏡で、お口の細菌を動画で確認します
位相差顕微鏡は、通常の顕微鏡では見えにくい透明な細菌などを、染色せずに観察するための顕微鏡です。
歯と歯肉の境目などから少量のプラークを採取し、顕微鏡で拡大すると、細菌の量や動き、形態などを動画として確認できます。
ご自身のお口の中に存在する細菌が実際に動いている様子を見ることで、
「歯垢の中には多くの細菌が存在している」
「歯肉から出血する原因は何なのか」
「毎日のブラッシングがなぜ必要なのか」
といったことを、より具体的に理解しやすくなります。
位相差顕微鏡を用いて細菌を視覚的に説明する方法は、従来の説明だけによる方法と比較して、口腔衛生教育に良い影響を与える可能性が報告されています。
ただし、位相差顕微鏡だけで細菌の種類を正確に特定したり、歯周病の重症度を診断したりすることはできません。当院では、歯周ポケットの深さ、歯肉からの出血、歯の動揺、レントゲン・CT画像などの検査結果と併せて総合的に評価します。
口腔内スキャナーで、お口全体を立体的に記録します
口腔内スキャナーは、小型のカメラで歯や歯肉を撮影し、お口の中をカラーの三次元画像として表示する装置です。
従来の口腔内写真や鏡による確認に加えて、スキャンした画像を画面上で拡大したり、回転させたりできるため、ご自身では確認しにくい奥歯や歯の裏側も立体的に見ることができます。
必要に応じて歯垢染色を行ったうえでスキャンすると、磨き残しのある場所を三次元画像上で確認できます。
口腔内スキャナーを使用した研究では、直接観察しにくい下の前歯の裏側なども画像上で確認しやすく、歯みがき指導に役立つ可能性が示されています。
「磨き残しがあります」と言葉だけで説明されるよりも、実際の画像を一緒に見ながら説明を受けることで、ご自身の問題として理解しやすくなります。


TBIの効果を高めるための「見える説明」
TBIとは、Tooth Brushing Instructionの略で、日本語では歯みがき指導を意味します。
一般的な磨き方を一方的に説明するだけでは、実際のお口の中でどこに歯ブラシを当てればよいのか、分かりにくいことがあります。
当院では、位相差顕微鏡と口腔内スキャナーによる画像を使用しながら、
- 磨き残しやすい歯の位置
- 歯ブラシを当てる角度
- 歯肉を傷つけにくい力加減
- デンタルフロスを使用する場所
- 歯間ブラシの適切なサイズ
- タフトブラシが必要な場所
などを、患者さんのお口に合わせて具体的にご説明します。
日本歯周病学会も、プラークを可視化し、ご自身の清掃状態を知っていただくことが、効果的なホームケアにつながると説明しています。

当院のメインテナンスの流れ
まず、歯肉の状態や歯周ポケット、出血の有無、歯垢や歯石の付着状況を確認します。
必要に応じてプラークを採取し、位相差顕微鏡を使って細菌の状態を動画で確認していただきます。
さらに、口腔内スキャナーでお口全体を撮影し、歯並びや磨き残しやすい部分を立体的に確認します。その画像を使用して、患者さんごとに適したTBIを行います。
その後、歯科衛生士による専門的なクリーニングを行い、セルフケアだけでは除去しにくいプラークや歯石を取り除きます。
次回以降のメインテナンスでは、以前の状態と比較しながら、ブラッシングによって改善した部分や、引き続き注意が必要な部分をご説明します。
なお、お口の状態により、実施する検査やメインテナンスの内容は異なります。
目標は、細菌をゼロにすることではありません
お口の中には、健康な方にも多くの細菌が存在しています。そのため、すべての細菌をなくすことがメインテナンスの目的ではありません。
大切なのは、歯垢やバイオフィルムを適切に管理し、歯肉に炎症が起こりにくい状態を維持することです。
歯科医院で定期的にクリーニングを受けていても、ご自宅でのセルフケアが不十分であれば、プラークは再び付着します。反対に、毎日丁寧に歯を磨いていても、歯石や歯周ポケット内部の汚れなど、ご自身では除去できない部分があります。
そのため、毎日のセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアを両立させることが重要です。
「見えること」が、予防の第一歩です
位相差顕微鏡では、目に見えない細菌の状態を動画で確認できます。
口腔内スキャナーでは、ご自身では見ることが難しい歯の裏側や奥歯、磨き残しのある場所を立体的に確認できます。
お口の状態が見えるようになると、歯みがきの目的や改善すべき場所が分かりやすくなり、毎日のセルフケアに取り組む意識も高まります。
当院では、単に「きれいに磨いてください」とお伝えするのではなく、患者さんと一緒に画像を確認しながら、納得して取り組めるメインテナンスを大切にしています。
定期的なメインテナンスを通して、むし歯や歯周病を予防し、ご自身の歯を長く健康に保っていきましょう。
- 執筆:雙葉デンタルクリニック歯科衛生士
- 監修:院長 山下敦史
- 更新日 2026年7月24日

